タマリバ2018トークイベント『多摩川未来ブレスト』の内容を公開します
2018年10月8日(祝)に Tamagawa Riverside Festival “タマリバ” のイベント内で、多摩川流域で活躍されているゲストを迎えたトークイベント『多摩川未来ブレスト』を開催いたしました。
当日はそれまでの連日の雨や台風襲来が嘘のような、快晴。真夏のような青空のもと、雄大な多摩川の景色をバックに、軽快なトークで盛り上がりました。
少し時間が経ってしまいましたが、みなさまにとって「これからの多摩川を楽しくするためのヒント」になればと思い、当時の内容を本記事としてレポートいたします。
ゲスト紹介
唐品知浩 氏(調布在住)
2015年調布市京王多摩川駅近くの京王線の橋脚に映写した野外映画会をスタートに“ねぶくろシネマ”として現在まで全国で30回以上開催している。
田村寛之 氏(川崎在住)
2017年9月まで米軍施設内の消防士として、アメリカ人の上司のもと、20年間働き、5年ほど前から地元川崎で清掃活動やマルシェなど多岐に渡る地域活性化の活動を行っている。
曽田容子 氏
2012年から二子玉川をベースにヨガクラス flow4yoga を主宰。
生まれも育ちも多摩川の近くで、幼少から水泳などのハードな運動をやっていたが、ゆっくりした動作と呼吸の仕方などヨガとの新鮮な出会いから今に至る。
篠塚雄一郎 氏(狛江在住)comaecolor代表
東京の下町で育ち、2013年から狛江に住み、普段は都内の設計事務所で働きながら、週末は自分が住むまちを面白くする活動として、comaecolor で活動している
『多摩川未来ブレスト』レポート
コマエカラーのこれまで
冒頭、このタマリバを始めたきっかけや主催するの活動を共有いたしました。
(篠塚)このタマリバを主催しているコマエカラーの活動を簡単にお話すると、狛江市民を中心とした色んな仕事をしている大人が集まって、自分たちが住む狛江をDIYスタイルで面白くしようという活動です。
2015年頃から集まりだして、最初の大きなアクションとして、多摩川のポテンシャルを活かした野外イベント“タマリバ”を2016年に開催しました。
もともと週末はBBQなどを楽しむ人たちで賑わっていた狛江の河川敷ですが、ゴミや騒音の問題で2012年に火気利用を禁止する条例が施行されました。
おかげで、河川敷はキレイになったのですが、賑わいが無くなってしまって勿体ない、という共通の課題意識があったメンバーが、まちづくりや飲食、音楽、web、デザインなどそれぞれの仕事の角度から、もう少し違う形で河川敷に賑わいを作ることは出来ないかと話し始めたのが発端です。年1回10月の体育の日の連休にやっていて、今年で3回目になります。
2016年のタマリバで河川敷の目の前にある川田旅館のご主人と知り合い、週末の賑わいを作れないかと相談を受けて、旅館の敷地を1年間お借りして、週末限定カフェ“ソトカワダ”を運営しました。
都内でフリースタイルで働くバリスタさんに週末、狛江に来てもらい、多摩川ライフを楽しむ拠点が出来たことで、多くの人と知り合えたり、チームの新しいメンバーも増えました。
今年のGWには、狛江駅前の泉龍寺というお寺の境内をお借りして、“珈琲参道”というコーヒーのイベントをやりました。新緑の気持ちいいお寺で過ごす週末時間を提案しました。
8月からは、定休日の飲食店をお借りして、“未来酒場”という持ち寄り式の飲み会をやってます。1日店長になってもらった人に、ご自身の活動などを少し話してもらった後に、歓談するようなユルい飲み会です。
それと、今回、狛江に住みたいとか、住み続けたいと思ってもらえるようなブックを不動産屋さんや飲食店の方々に協力いただいて、作成しました。狛江のまちの成り立ちや狛江で暮らす人のライフスタイル、独自の切り口で取材した飲食店の紹介をまとめています。ぜひ、お手に取ってみてください。
ネガティブなこともある河川
多摩川の長い歴史には暗い過去もあります。かつては工場排水などでヘドロだらけだった風景が記憶にある人もいるはず。狛江も昭和40年代に台風による増水で決壊して、民家が流されたニュース映像は有名なところです。数年前には川崎側の多摩川河川敷で中学生による事件もありました。
(篠塚)昨年のタマリバも天気に恵まれて、お陰様で大成功だったんですが、その翌々週に台風が関東を直撃して、この場所が完全に冠水しちゃったんです。
ここから少し下流に行ったところに、生き物を観察出来たりする、「水辺の楽校」という場所があるんですが、台風後に清掃ボランティアに参加したら、とんでもない量の土砂や流木があって、自然の怖さを知りました。
(田村)だからこそ、多摩川を拠点にポジティブなことを発信したいと思って活動しています。カワサキノサキという一般社団法人でアウトドアスキルを活かして、防災に備える活動として、防災キャンプをやっています。
有事に72時間を自分たちで過ごすのに、ジップロックに入れたお米と多摩川の水でお湯を沸かして、ご飯を炊いたり、ペットボトルでランタン作ったり、楽しみながら学ぶ機会、お年寄りから子供まで広く参加出来るような場を作っています。
人間の本能として、何かあったら水辺に行く習性があるらしいので、多摩川をそういう目線で見るのも大事かなと思っています。
多摩川エリアをブランド化
それぞれ、多摩川を拠点に活動をしている4人ならではのアイデアが次々と飛び交い、セッションは熱を帯びます。
(田村)先日、狛江で初めてフライフィッシングをやらせてもらったんですが、ビギナーズラックで大きなマルタウグイが釣れてしまって、本当にビックリしました。改めて、多摩川の懐の深さを感じましたね。
(唐品)最近、「かいぼり」が注目されているから、外来魚を釣る大会みたいのをポップに出来たら面白いなと思いますね。いろんなところで同時開催して、一番デカいのを釣ったところが優勝みたいなのをフェイスブックでリアルタイムで発信したりとか。
以前、多摩川を面白がる会という集まりをやったんですが、多かったのが川を渡ってみたいという意見でした。最近は海外で小さいボートのようなドローンが開発されていて、それで桟橋を作るみたいなのも、現実的に出来るかもしれない。
(篠塚)各地で同時開催みたいのは面白いですね。
(唐品)川は危険というイメージ根強くて、近寄らないようにしてしまう自分たちがいるけど、海はそこまで行っちゃいけない場所みたいなイメージはない気がする。海と川の違いはあるけど、湘南は海が生活に溶け込んでいる気がするけど、多摩川沿いに住む人にどれだけ溶け込んでいるかというと、まだまだな気がしますね。やっぱり常時、大人がいるとか、誰かがいて人の目があれば、危険というイメージもなくなってくると思う。
(田村)飲食店みたいな通年、溜まれる場所があるといいな、とは思いますね。
(篠塚)もともと、タマリバをやる前に話していた時に、海の家ならぬ、川の家をやりたいね、と話してました。昔はこの辺りにもあったそうです。
増水などの危険あるから大きな建物を作るのは難しいかもしれないけど、例えば、今日も来ているルーメット(※1)とかなら、自動車で簡単に移動できるので、近いものが出来るんじゃないかと思いますね。
あと、あちらのドーナツ屋(※)さんは三輪車ですけど、僕は下町育ちなので、昔は公園とかに紙芝居のおじさんが自転車に道具やお菓子を積んで周ってて、おじさんが来ると子供たちが集まって、賑わっていた記憶があります。そんなこともアリですよね。
(唐品)そういうのを多摩川沿いの人たちで共有して、今週は調布とか、来週は二子玉とか出来たら面白いですよね。僕らの活動スタイルには自治体の境界はあんまり関係ないので、多摩川沿いをエリアとして上手く定義して打ち出していけたら、エリアの価値が高まる気がします。
(曽田)サーカス団みたいに周ったりしたら面白いし、同じ道具やコンテンツでも、地域性を少し出したりして、楽しめることもある気がします。
(篠塚)言われてみれば、湘南という市はないけど鎌倉や藤沢や茅ヶ崎なんかが、“湘南”というエリアでブランド化されていて、「湘南スタイル」なんていう雑誌があるくらいですけど、それくらい多摩川エリアも良いイメージが出来るといいですね。
(唐品)多摩川の近くで暮らすライフスタイルがもっと発信出来たら、多摩川徒歩何分だと、不動産が高くなるみたいになるかもしれません。
(田村)そんな風になるためにも、今日出たアイデアを具体化したいですね。京浜河川事務所の方も最前列で聞かれているし、応援してくれるでしょう(笑)。今日を機会にみんなで何かやりませんか!?
(唐品、曽田)やりたい!楽しそう!
(篠塚)完全アドリブだったので、取り留めもない話もありましたが、面白いアイデアもたくさん出たし、多摩川沿いを新たなエリアとして捉えて、ぜひ具体的なコラボをしたいですね!しましょう!今日はありがとうございました。
秋晴れの青空と川風のもと、子供たちの遊ぶ声が響き渡るオーガニックな雰囲気のなかで、多摩川の未来を描く、楽しいブレストを聞くことが出来ました。
これからの多摩川エリアにワクワクしながら、トークセッションを聞き入っている聴衆のみなさんの笑顔が印象的でした。
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